GALAXY Note に使われているワコムの技術とは

SAMSUNG Developers Day 2012 in Tokyo に参加してきました。
ご存知の通り、本日発表された GALAXY Note 関連の開発者向けイベントになります。

そのイベントでも詳しくは触れられなかったのですが S Pen にはワコムの技術が使用されています。
多くの記事で「ワコムの技術を採用した~」としか述べられていませんが、こんな機会でも無いと解説することが無いので少し書いておきたいと思います。

GALAXY Note では指によるタッチ入力と S Pen によるペン入力の両方が可能です。
S Pen が特徴的なのはボタンを備えたスタイラスペンですが、これには電池が搭載されていません。
スタイラスペンに電池が搭載されていなくても座標が検出できる仕組みは以下のとおり。

—————————————————–
まず、デジタイザ本体がアンテナコイルに一定期間交流を流す。
デジタイザ本体のアンテナコイルと電子ペン内部のコイルは、トランスの1次、2次のように働き、電子ペンのコイル両端に交流の電圧が発生する。
この電子ペンのコイルは接続されたコンデンサと共振回路をも構成しているので、L-C共振することでエネルギーを蓄える。

共振が安定してからデジタイザ本体は、電流ドライブを止め、送信/受信スイッチをドライバから受信回路に切り替える。
すると、電子ペンの共振回路の電力が、ペンのコイルを1次側、デジタイザのアンテナコイルを2次側としてアンテナコイルに現れるので、これを検出する。

上記にように、送信/受信を各アンテナコイルをスキャンさせながら繰り返し、電子ペンの位置をサンプリングする。
デジタイザ本体が初めにエネルギーを電子ペンに授け、その後電子ペンからエネルギーを受けているので、電子ペンには電池などのエネルギー源を必要としない。

座標の検出は、デジタイザに複数の長方形アンテナコイルが平行に並んでおり、順番にセンサ面をスキャンする。
電子ペンが最も近いアンテナコイルからは強く、隣接するコイルからは比較的弱い信号が検出されるので、電子ペンの位置を算出することができる。
電子ペンのペン先スイッチや筆圧などの情報は、電子ペンからの信号を変調するなどしてデジタイザ本体に送られる。
—————————————————–





この方式の利点としては以下の点があげられる。

・ペンが表示面に近づくだけで座標を検出する
抵抗膜方式のように接触しなくても、画面に近づけるだけで座標を検出しカーソルを操作するなどができる。

・ペンにスイッチを搭載できる
サイドスイッチの他、消しゴムボタンなどをペンに搭載できる。

・筆圧検知
GALAXY Noteでは128段階の筆圧検知が可能になっている。
※当初512段階と記載しましたが128段階の誤りでしたので訂正いたします。

・画面表示への影響が無い
電磁誘導方式デジタイザは画面表示の裏面に位置しており、表示に影響しない。

・ペンの傾き角度と方位を検出できる

・ペンの電池不要


実際の所「ワコムの技術」がどの程度使われているのかは分からないが、
少なくとも電池レスペンを使用しておりタッチセンサーと併用していることから「ワコム・ペナブルテクノロジー」や「ペナブル・デュアルタッチ」の技術を採用していると思われる。
タッチパネルと電磁誘導方式センサーの切り替えや、本体側デジタイザのバッテリ対策、
ペンがどれぐらいの精度で調整されているかなどが気になる所である。

ペンとタッチは「ペン優先の排他制御」がかかっており、タッチ中であってもペンでの操作が優先して行われる。
逆にペンがデジタイザの認識範囲にあるうちは(ペン先をちょっと浮かせていても)タッチ操作は戻る、メニューボタン含めて認識しない。

この、最小の液晶タブレットはハードウェア的には非常に気になる製品なのだが、アプリケーション面ではまだ充実しているとは言いがたく、SAMSUNG Developers Day 内に設置されたブース GALAXY Note Studio で似顔絵を描いてくださるプロ似顔絵師の方もなかなか苦戦している様子だった。
筆圧を検知して画像に反映させるにはアプリ側での対応が必要になるため、今後 Adobe の PSTouch のような製品群や Autodesk の SketchBook などが対応してくれるか。
また、キラーアプリと呼べるようなお絵かきソフトが出現するのかが鍵になると思う。
※タブレット専用ですが PStouch, Adobe Ideasなどは対応しているようです。Autodesk製品もプリインされているものについては対応しているとの事。

電磁誘導方式、およびその発展技術であるワコム独自のペナブル・テクノロジー方式
GALAXY Note SC-05D | SAMSUNG
GALAXY Note | SAMSUNG mobile(サムスンモバイル)

# ちなみに HTC Flyer はペンに電池を搭載していますので方式的に異なります。
## 昔ワコムに居た時に最初の研修で教えてもらった事なのと、ただ一言「ワコムの技術」とだけ書くには惜しいのでクローズアップして書いてみました。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加